「会計知識ゼロからの
はじめての予算管理」の感想
本の情報Book Information
会計知識ゼロからの はじめての予算管理
著者:梅澤 真由美
発売日:
本の長さ:208ページ
「会計知識ゼロからの
はじめての予算管理」
の感想Thoughts
25冊目は、予算の本です。
これは、予実管理をするための第一歩として予算に関する本を探していた時に出合いました。
結論、フレームワークがちょっと手に入るくらいの内容でした。
本の構成は
- 予算管理は管理職の必須スキル
- 月次決算
- 業績見込
- 予算作成
- KPI
- 部門別PL
さて、本の流れは下流から上流に流れるかの如く、月次決算という身近なところからスタートし、業績見込として予想を立て、さらに難易度が上がる予算を作り、それを達成できるようにKPIと部門別PLというツールでフォローしていこう、というのが流れです。
重要なポイントは下記だと捉えました。
月次決算
- 今年・前年・予算
- 売上などの会計項目ごとに2W1H(Where、Why、How)が含まれるコメントを心がけよう
特に、差異がある項目について- Where(=どこで発生しているか?)
- Why(=それがなぜ発生したのか?)
- How(=将来どうなるのか)
- 経理が気にする差異
- 「有利差異」よりも「不利差異」を気にする ※有利差異とは利益が増える方向の差異、不利差異とは逆に利益が減る方向の差異
- 「一時差異」よりも「永久差異」があることを喜ぶ
※一時差異は費用の発生する月がずれるものの、年間通してみると発生することに変わりないもので、何らかの理由で今年は発生しなくなった費用などを永久差異と呼ぶ
業績見込
- 中立的な予想
- 予算の達成可能性を上げるツール
- シナリオを3パターン(楽観的・中立的・悲観的(ワースト))
ワーストシナリオを作るだけではなく、いくつか対応策まで用意しておければ、安心です
予算作成
- 目標
- PL(損益計算書)形式
- リスクリスト(要因・利益影響額・対処)
- 月次数値への按分(割り振ること)
KPI
- トレードオフ(両立不可能性)が発生しがち
- KPIは予算管理とのブリッジ(橋渡し)として機能する
部門別PL
- 社員の人たちに部門の業績を「自分事化」してもらう
- 限界利益・限界利益率
- 管理可能個別固定費・管理不可能個別固定費
部門長がコントロールできると考えられるものを「管理可能個別固定費」と呼び、コントロールできないものを「管理不能個別固定費と呼ぶ。
支店であれば、個別固定費のうち水道光熱費や交際費は、不在時消灯の徹底や接待回数の制限などを支店長が通達して管理できる場合も多いでしょう。
しかし、支店のオフィスに支払われる家賃やチームメンバーの人件費は、支店長の権限だけでは変えられず、本社決裁というケースが多いのではないでしょうか。
この場合、水道光熱費や交際費は管理可能個別固定費、家賃や人件費は管理不能個別固定費となります。 - 共通固定費
共通固定費に当たる部門というのは、収益を稼ぐ代わりに、社内でサービスを提供する役割を果たしているという共通項があります。
このような部門のことを「コストセンター」と呼ぶ会社もあります。
一方、営業部門のように収益を稼ぐ部門は「プロフィットセンター」と呼ばれます。 - 共通固定費の「配賦(按分計算のこと)」
例えば、管理部門にかかった費用の総額を、プロフィットセンターである14の営業支店で均等配分するなどのやり方がされる。
均等分配以外に、売上金額に比例させて費用を分配する、または支店の部門の人数に応じて分配するなどの方法をよく見かけます。 - 製造部門と販売部門を抱えているメーカーなどの業種では、部門別PLにおいて振替単価という仕組みを採用しているとこともある
製造部門から販売部門に出荷する際に、社内の取引であるものの、取り決めた販売単価を使って部門別PLに記録するという方法です。
その結果、製造部門のPLには振替単価での売上が載り、販売部門のPLには振替単価での仕入が載ります。
こうして、まるでその会社と取引をしたかのような部門別PLが出ます。
振替単価は、製造部門の業績を把握しやすくなるために考え出された仕組みです。
これだけですと単語の羅列なので、イメージが難しいですよね。
とはいえ、この本だけですと、概要や方法はわかっても、正直難しい部分があると僕は思います。
というのも、「とある新任管理職を主人公に、その1年の活動を追いながら予算管理を学んできます」とあるのですが、追うことで「自分事化」に近づけているようで、あまり具体的な数値や事例がないので「難しい」と判断しました。
この本を読む場合、他の本と合わせて購入するか、この本を読みながら、または読み終わった後で、自分で一つずつ数値や言葉に落とし込んでいって表現しないかぎりには、理解したことにはならいない本だと思いました。
なので、概要としては、参考としては「いいな!」と思った本なので、まずはどんなものなのか知りたいという方にはおすすめできる本です。
もし、この本だけで、「実務に役立てよう」というモチベーションの場合は、この本は力不足なので、おすすめできません。
これにはご自身の論理的思考を駆使しながら、この本を見て、現実の課題や数値を紐解き月次決算、業績見込、予算、KPI・・・と組み立てていく必要がございます。
もし、ご興味持っていただいた方は是非、手にとっていただけますと幸いです。