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「21世紀の教育
子どもの社会的能力とEQを
伸ばす3つの焦点」の感想

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本の情報Book Information

21世紀の教育 子どもの社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点
著者:ダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)/ピーター・センゲ(Peter Senge)
発売日:
本の長さ:232ページ

「21世紀の教育
子どもの社会的能力とEQを
伸ばす3つの焦点」
の感想Thoughts

26冊目は、教育の本です。
だいぶ前回の投稿から期間が空いてしまい申し訳ないです。
さて、この本はEQというワードを会議中に知り、興味を持ち、「何か良い本ないかな?」と調べていたところ、出合った本です。
結論から、僕が求めている内容とは異なるのですが、学校の教育について論じられていることについて、興味深く最後までしっかり読ませていただきました!

本の構成は

  1. 監訳者まえがき 答えのない世界を生きる子どもたちのために
  2. はじめに
  3. PATR1|より良い人生のための教育
  4. PART2|私たち自身にフォーカスする
  5. PART3|他社にフォーカスする
  6. PART4|世界を理解するーシステム思考
  7. PART5|SELとシステム思考のトリプルフォーカス
  8. 巻末付録 世界と日本で進むSEL教育入門
という構成で、「監訳者まえがき」と「巻末付録」という最初と最後の内容が個人的にわかりやすく、興味深い構成でした。

そもそものEQですが、Emotional Intelligence Quotientの略で、日本語では「心の知能指数」と意訳されます。
そしてこの本の著者である「ダニエル・ゴールマン」はこの概念を世界に広めた心理学者であり、ジャーナリストです。

このEQは、本書では、学校の教育の話ですが、ビジネス面でもいかせる概念であり、ググってみると色んな方が解説されております。

そして、この本で中心なのでは「トリプルフォーカス」。

  1. 自身(inner)
  2. 他者(other)
  3. 外の世界(outer)
の3つをフォーカスする必要があると語られており、その技術を説明している。

この変動する世界の中で、自分という存在が感じていることに気づき、理解し(inner)、そこから「他者」を理解し(other)、「より広い世界」へつながって変化を生み出していく(outer)。

上記にSELという言葉がありますが、こちらは「Social Emotional Leaning」の略でそれぞれ、
Social(社会的能力):social skillなどと言われるような人と関わる上で良い関係を構築するための能力を指す Emotional(気持ちに関わる能力):一般的には「情動」と訳されますが、"EQ"で表される自分や他者の気持ちの動きに気づきうまく付き合える能力を指す Leaning(学び):上の2つの能力を育む学び(教育アプローチ) という内容になります。

CASEL(Center for Academic, Social and Emotional Leaning)が提案するSELで育む5つの能力
SELは、以下の5つのコアコンピテンシーに関連する知識、スキル、態度、を習得し、適用するプロセスである。

  • 自分の感情・考えを理解する能力
  • より良い意思決定をできる能力
  • 他者と健康的な関係性を築く能力
  • (多様性を持った)他者を理解し、共感する能力
  • 自分の感情・考え・行動の状態を理解し、コントロールできる能力
SELの新たな潮流として、
  1. 自己・内へのフォーカス(Inner Focus)
    自分自身の感情や感覚、目的意識(sence of purpose)を理解(connect)する
  2. 他者(の内)へのフォーカス(Other Focus)
    他者の感覚や感情を理解し、共感する。
    関係性を構築する。身近な(目の前の)リアルを理解する
  3. 社会システムへのフォーカス(Outer Focus)
    より大きな社会を理解する。 目の前で起きているパターンが大きな社会システムの中でも起きていることを理解する
×
  1. 気づく(Awareness)
    客観的に物事を見ることができる
  2. 共感する(Compassion)
    客観的に理解しながら、そこに「よりよくする」という意図を持って共感する
  3. 関係性を育むためにアクションする(Engagement)
    共感したうえで、どのように解決につなげるのか、またどのような関わり方をするのか意思決定し、アクションする
といった形で、トリプルフォーカス、SELを中心に教育について語られているのですが、僕個人として、「新たな潮流」にある、どれもが組織でも役に立つと考えております。

というのも、組織に入って何かを成していくためには、就活でも行った人もいるかと思いますが、自分を知り、そして入社してからは、組織や顧客について知っていきます。
さらに、組織が前に進んでいけている理由もシステムとして理解していくと思います。
それは、組織の人間関係であったり、方針であったり、顧客との関係性であったり、商品(サービス)の魅力であったり。
しかしながら、この知っていく工程で、スピード感を持って深く知っていくのには、個人差があると考えますし、よりよくしていく必要がある場合、気づく、共感する、関係性を育むためのアクションする、といった部分が重要になってくると思います。
おそらく、身近なところでいうと、MTGです。
MTG中、そもそも会議の方針が微妙だったりするケースもあるかもですが、しっかりした議題や課題(アジェンダ)があった場合、自分の意見をしっかり言えるか、それの根拠はどうなのか、相手の意見について理解できるか、話がまとまった後に、行動がしっかりできるかなど、本書の話とズレる点あると思いますが、類似していると考えます。

ですので、学校の教育という分野に手を伸ばしつつ、ビジネスにどう活かせるのか考えながら読めたこの本は興味深くおすすめできます。
おすすめしたい方として、教育に興味がある方、リーダーシップに興味がある方、EQについて何でも良いから知りたい方(EQ自体については深くふれられていないので注意です)におすすめです。

もし、ご興味持っていただいた方は是非、手にとっていただけますと幸いです。